結婚式前夜

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 そして道を曲がると先には出口が見えた。  しかし、出口よりも俺は目の前にいる人物に釘付けになっていた。  さっきまで散々見てきた少女の姿がそこにはあった。  彼女は何も言わず、俺の車に近付いてくる。そのまま後部座席の方に回ってきたので、ドアロックを解いて招き入れる合図をした。葵は車に乗り込んだ。 「久しぶりね」  彼女の第一声だった。 「……」  俺は何も言えずにいた。 「あら、車に入れてくれたのに随分冷たいのね」  彼女は笑って言った。 「……久しぶり」  胸が苦しくて俺は精一杯言葉を絞り出した。 「うん! 久しぶり!」  彼女は心底嬉しそうだった。でも、俺にはそれが更に心苦しくさせるのだった。  そんな俺の様子にお構いなしに葵は話し掛けてくる。 「何か聞きたい事はないの?」
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