4人が本棚に入れています
本棚に追加
そして道を曲がると先には出口が見えた。
しかし、出口よりも俺は目の前にいる人物に釘付けになっていた。
さっきまで散々見てきた少女の姿がそこにはあった。
彼女は何も言わず、俺の車に近付いてくる。そのまま後部座席の方に回ってきたので、ドアロックを解いて招き入れる合図をした。葵は車に乗り込んだ。
「久しぶりね」
彼女の第一声だった。
「……」
俺は何も言えずにいた。
「あら、車に入れてくれたのに随分冷たいのね」
彼女は笑って言った。
「……久しぶり」
胸が苦しくて俺は精一杯言葉を絞り出した。
「うん! 久しぶり!」
彼女は心底嬉しそうだった。でも、俺にはそれが更に心苦しくさせるのだった。
そんな俺の様子にお構いなしに葵は話し掛けてくる。
「何か聞きたい事はないの?」
最初のコメントを投稿しよう!