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「少年ってさ、偉いよな!母子家庭で育って、お母さんの苦労がちゃんと分かっててさ…きっかけは何であれ、バイトもして自分の事は自分でしてるしなぁ。」
「や…なんか照れますよ。そんな誉められると…」
ヒビキが急に話題を振るのは珍しくもないが、何となく気になる気がした。
「あの、ヒビキさん…良かったんですか?まっすぐ立花に帰らなくて…いくら、遅くなったからってわざわざ送ってくれて…」
「なぁに!大丈夫!鍛えてますからっ!」
シュッとヒビキはいつものポーズで決める。「ハハハ…」
(ちょっと意味が違うんだけどなぁ…)
と、思いつつも取り合えず聞き流した。
「いつ、襲われてもどーって事ないし、特に用事がある訳でもなし…それに、いくら少年が一人で何でもするっていってもまだ未成年なわけだし、立花にバイトに来てくれる時は預かってるんだから責任があるしな。それに、魔化魍に襲われてたんじゃ言い訳でもシャレんなんないしな。」
「それは言えてますね!」
明日夢は苦笑混じりで答える。
「よし!少年!明日、どっかのんびり出来るトコ行こう!」
「えっ!?」
急なヒビキの思い付きに明日夢は思わず目を丸くして驚いた。
「えっ?何?少年、明日どっか行く予定があったとか?」
「あっ…いや、そうじゃないんですけど…」
「じゃ、決まりだな!明日、少年のウチに迎えに行くから!」
丁度、話がまとまった所で明日夢の家に着いた。
「あの、ウチに寄ります?」
「うんにゃ、今日は遅いから今度にするわ。」
それだけを言うとくるっと踵を返し
「じゃな!少年!」
「あ!ハイッ!おやすみなさい!」
明日夢が答えると、小走りで立ち去っていく後ろ姿で手を降ってくれた。
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