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しばらく二人で並んで歩いていると、後ろから一台の自転車が追い抜いて行った。
クラスメイトの犬飼だった。
しかも、どういうわけか自転車の荷台にちゃっかり女の子を乗せている──のだが、俺はその違和感に真っ先に気が付いた。頭とお尻に人間ではあるはずのないもの──猫耳と尻尾が生えていたのだ。
どうやら、あれが噂の奥さんらしい。それにしても、日常的に猫耳ルックを奥さんに強要しているとは……なかなか侮れない変態らしい。
先週は体調不良が長引いたので、週の真ん中から週末にかけて休んでいた。ちょうど犬飼が奥さんと登校するようになったのと重なるように休んでいたため、見るのは今日が初めてだった。
「……それにしてもまあ、マニアックだな……」
だが、呟いてから、自分も周りからそんな目で見られているのではないかという不安にかられた。
自分だって、傍らにはいつも九尾の狐っ娘がいるのだから、変態と思われているのかも知れない。犬飼に比べたらリコとの付き合いが長い分、俺はそっちのパイオニアになるわけだから。『ようこそ、犬飼。こちらの世界へ』と、歓迎会でも開こうかと思いながら少々項垂れた。
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