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悲しみに明け暮れた僕は、街に出て人込みの中で静かに立ち止まった…。
僕の前を人がたくさん通り過ぎてゆく…。
ああ、僕は一人じゃない。
僕の目の前にはたくさんの人達が通り過ぎて行ってる。
世界には多くの人間がいる…。
けれど……
どうしても僕の心が一人だと泣き叫んでいるんだ……。
一人じゃないと世界が僕の瞳(メ)が否定して、僕はもう一人だと心が拒絶する。
そんな矛盾した気持ちを振り切るように、僕は人込みの中で君の姿を必死に探した…。
君にもう一度会いたくて…
君をこの手で抱きしめたくて…
いるはずないと分かっているのに――…。
いて欲しいのだと僕はどこかで願っているんだ…。
そんな弱い僕は
君の名を叫んだ……。
君の匂いが 君の温もりが
君の優しさが 君の全てが…
とても愛おしくて
とても恋しくて…
こんなに僕の心は君に依存していたんだと気付いた…。
けれど、不器用な僕は心のままに君を愛することができなかったんだ…。
だからあの日、君に告げた"さよなら"の理由を
今でもまだ考えてる…。
もう君はいないはずなのに…。
あの日から僕は
まだ君への想いを
消せずにいる――……。
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