追跡者

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「おはよーございます、秋月さん」 「おーっす、珍しいな宗ちゃん。お前がこんな遅刻ギリギリだなんて」 小柄な(蘇芳から見れば、だが)少年が小走りに駆け寄り、ぺこりと頭を下げる。黒髪黒目の蘇芳の隣に並ぶと、一風変わった容姿が余計に際立つ。 アーチェリー部の後輩、渡辺宗は、生まれつき色素が薄かった。 「今日までに提出しなければいけないレポートがあって。ついつい没頭して気が付いたら夜明けでしたよ」 「へぇ~、大変だなぁ。理数系科目でよけりゃ、相談に乗るけど」 「ありがとうございます!でもこういうのは、やはり自力でやらないと!」 渡辺は、ぎゅっと拳を握りしめる。 「それに今回のは家庭科ですし」 「え?」 蘇芳のアーチェリーバッグが、肩からずり落ちそうになる。 「2000キロカロリーと、1500キロカロリーの、1日のバランスの取れた食事の献立を考えてカロリー表を作る課題で。特に1500キロカロリーの方は高齢者の食事っていう設定だったので、難しかったです!」 「へ、へぇ~」 家庭科ね。それも得意科目だったりするのだが。それにしても家庭科のレポートに夢中になって徹夜とは。
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