出会い

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母が亡くなって五年経った。 今日は母の命日で俺はここに一人来ていた。 俺は生まれた頃から父が居なかった・・・なぜ居なかったのか結局話さないまま逝ってしまった母。 別にその事を恨んだりしてないけど・・・。 生きてた頃の母はとても良い母だったし母が頑張ってくれたお陰で人並みの生活を送ってこれたし。 なのに俺は母が亡くなったことなんてどうでも良い日常の一つとしか思えなかった。 哀しくも無かったし寂しくも無かった。 ただ居なくなったそれだけだった・・・・。 でも一応息子として墓参りには来てる・・・一年に一回だけだけど・・・。 正直この墓参りも来なくて良いと思ってる自分がいる。 きっともう数年すれば墓参りに来ることは無くなるだろう。 そしていつか母を思い出す日も無くなるだろう。 いや思い出す日なんてもぅ無いのかもしれないな そんな事を考えてるうちに母のお墓の前についた。 そこには誰かが居た。 女の子だ。見た感じ俺と同じ歳位の女の子。 とはいえ俺は19歳だから自分と同じ位の年齢の子に女の子という表現は少し可笑しいのかもしれない。 まぁ女の年齢なんて見た目だけじゃわからないからな・・・そんな事を考えながらその子の横を通り過ぎる・・・・はずだった 「誉・・・君」 俺の顔を見た途端彼女は俺の名を口にした。 彼女の顔を正面から見ても俺は彼女が誰なのかわからない。 「ねぇ誉君」 ある距離を保っていた彼女と俺の距離が縮まっていた。 彼女は俺の顔の前で手をヒラヒラとさせている。 「はぁ」 一言だけ発して母の墓に手を合わせる。 何も思ってないのに・・・何も思えないのに。 有難うもごめんも何も無い。ただ何も考えず形式として手を合わせる そして俺は日常に戻る為にここから還ろうとした。
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