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糾弾されたガロンズが自決することは、充分に予想できたはずだ。
俺は懐刀を胸に突き刺したまま崩れようとしたガロンズを支えた。
しかし、致命傷だ。
助かる見込みは、ない。
「…」
ガロンズは一言も発しなかった。
いや、発せられなかった。
「自決する気概があったなら、どうして内通を続けた? どうして内通を止めなかった!」
間も無く死に至るガロンズに、俺は無駄を承知で聞いた。
「…」
無言のままガロンズは冷笑を浮かべ、その直後、吐血して息絶えた。
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