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エドガーナ王国西の果てにアストリークという地がある。
その土地、南北に長く、南は海に面してエドガーナ有数の商業港を抱え、北は森と湖沼地帯で名を馳せるクウセラに面している。
領土の大半を肥沃な平地に恵まれ、クウセラから続く大河が海へと注ぐこの土地は、小麦、大麦をはじめとする穀物の産地としても知られ、北へ向かうにつれて広がる牧草地では牛や羊が飼育されていた。
また気候の良さを利用して広大な花畑が作られ、そこから得られる非常に質の良い香油はヴァージニア大陸全土に知れ渡っている。同じ花の同じ香油であったとしても、アストリーク産と名が付けば値段は倍近くにもなり、産地を偽ったまがい物も多く出回るほどだった。
アストリークより先はフィンレン王国となるが、金竜歴339年クヌートが十六歳で初陣を飾った【三年戦争】の終結より後は、両国の間に結ばれた休戦協定によって軍事国境としての緊張も薄れ始めている。
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