711人が本棚に入れています
本棚に追加
確かに何かが動いていた。
カイがアルフレドに寄り添うように後へ下がるのと同時に、クヌートが腰に帯びた剣の柄へ手をかけて前へ踏み出す。
誰も口をきかない。
草を掻き分ける音はどんどん近づいてきた。
クヌートが剣の柄を握りしめる。
音はますます近づいてくると、やがて止まった。
がさがさと草を掻き分ける音と共に姿を現したのは、ぼさぼさの赤毛を肩に届くほどに伸ばし、あちこち繕ってある粗末なシャツと寸足らずのズボンをはいた素足の幼い少年だった。
最初のコメントを投稿しよう!