the Embodiment of Scarlet Devil.②

7/7
前へ
/14ページ
次へ
「「うわっ!?」」 フランドールは突然、弓のような物を取り出すと、例によって弾幕を張った。 撃ち出された無数の弾が霊夢と魔理沙に向かって飛ぶ。二人はそれらを掠りながらも回避したが、部屋の惨状がより加速した事は言うまでもない。 「おいおい!『スターダストレヴァリエ』!!」 魔理沙もまたそれに対抗するようにスペルカードを抜き取り、流れ星に似た弾幕を張った。 「ちょっと待ちなさい!私の屋敷で勝手に何やってるのよ!」 事態を見かねたレミリアは腹立たしげに立ち上がり、二人に向かって叫んだ。 「……無駄だと思うなー……」 対照的に、霊夢は落ち着いた、或いは傍観にも似た態度で呟いた。 魔理沙とフランドールという、幻想郷でもかなりのパワーを持った者同士による決闘が行われていたのだ。流石の霊夢やレミリアでも、これを止めるのには、骨が折れるだろう。 それに、フランドールが居るという時点で、物事が穏やかに解決する筈は無い。まだありとあらゆる物が破壊されていないだけ、むしろマシと言えた。 「とはいえ、このままでも駄目ね……『二重弾幕結界』!」 「私だって!『不夜城レッド』!」 霊夢とレミリアは叫ぶと、やはり弾幕ごっこに加わっていった。四人の手になる、凄まじい弾の嵐が飛び交い、周囲の家具や床、壁が象を変えていく。流れ弾は、妖精メイド達にも直撃していた。 「あの…取材……」 一歩退いた所で、ポツンと立つ文は困った風に呟いた。その隣で腕組みをして立つ、咲夜は俯き溜め息を吐いた。 「修理、美鈴にも手伝ってもらおうかしらね……」 咲夜は言うと、壁に空いた穴から見える、空に目を遣った。 外は晴れており、太陽の光が部屋の中にも射し込んでいた。その穏やかさと現在の状況とのギャップに咲夜は呆れつつ、再び溜め息を吐いた……。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加