the Embodiment of Scarlet Devil.②

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「……変ね」 ふと、紅魔館の主である吸血鬼『レミリア・スカーレット』は呟いた。 彼女は、館の一室にて紅茶をすすりつつ座っていた。その周囲は椅子やテーブル、絨毯に至るまでが赤で彩られており、『スカーレットデビル』という彼女の二つ名を妙に強調しているようにも見えた。 「お嬢様、どうなさいました?」 その向かいに立って、新しい紅茶をポットに携える紅魔館のメイド長『十六夜咲夜』は言った。 「気配で分かったのだけど、誰かが侵入したようなのよ」 その問いに、レミリアは紅茶の入っていたカップを置きつつ答えた。 「侵入者…と言いますと、またあの魔法使いあたりですか?しかし、不本意ながら珍しい事では…」 すかさず、咲夜はカップへと紅茶を注ぎ、再び尋ねた。 「それならパチェが困る程度で済むわ。だけど……今回は違うのよ」 レミリアは、表情をやや厳めしい物にして返した。その反応から、咲夜もまたただならぬ事態であることを推察し、顔面の筋肉に僅かに力が入った。 「……初めて『博麗霊夢』達がここを訪れた時を思い出しますね」 咲夜は声色を微妙に変えて言った。レミリアにはその言わんとするところが分かっていたらしく、敢えておどけた表情を作った。   「まあ……家の門番が門番だからね。それに、幻想郷には異変が付きも……!?」   「……お嬢様?」   突然に、レミリアの眼光が鋭くなり、部屋のドアへとそれは向けられた。その直後、鈍い音と共に扉が蹴倒され、体格の良い、神父服を纏った男が現れた。   「…何者!?」   咲夜は反射的に、レミリアを庇うように彼女の前に飛び出し、異邦人を睨み付けると同時に尋ねた。   「……我らは神の代理人」   それに対し、男は口を横に大きく開いて笑いつつ言い始めた。   「我らは神罰の地上代行、ヴァチカン第十三課『イスカリオテ』……我が名は『アレクサンド・アンデルセン』、我らが使命は、我が神に逆らう愚者をその肉の最後の一片までも絶滅すること……AMEN」   男は、相変わらず狂気の笑みを浮かべつつ、祈るかの如く締めた。彼の着けていた眼鏡は、光を反射し異様に光輝いていた。   「アレクサンド・アンデルセン…イスカリオテ…聞かない名前ね。で、貴方は私達を殺す気なの?」   咲夜の後ろで椅子に腰掛け続けるレミリアは、あくまで上からの態度を保ちつつ言った。
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