the Embodiment of Scarlet Devil.②

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「くっ…『クロックコープス』!」   咲夜は再び無数のナイフを投げた。しかしその直後、ナイフの軌道が瞬間的に変わった。彼女の『時間を操る』能力によるものであった。 そして、それら弾幕の如きナイフの群れは、アンデルセンへと容易く突き刺さっていった。 アンデルセンは背中から倒れ込んだが、床に着く前に手を伸ばして受け身を取り、再び立ち上がった。   「AMEN」   アンデルセンは狂ったような笑顔のまま走り出し、レミリアに向け銃剣を次々と投げつけた。   「お嬢様!『ミスディレクション』!」   「咲夜!?」   咲夜はレミリアの前に立ち、ナイフを抜き去って、銃剣を弾くように広範囲にばら蒔いた。   「そこをどけ、小娘。邪魔をするなら貴様も殺す」   アンデルセンはそう言い切ると、床を踏み切って飛び上がり、空中から一斉に銃剣を投擲した。   「!!」   その内の一本が、ナイフの弾幕を掻い潜り、咲夜の左脇腹を掠めた。その傷口から鮮血が飛び散り、彼女の弾幕に乱れが生じた。 そればかりか、更に投擲された銃剣はレミリアへと一斉に襲いかかり、彼女の羽を貫き壁に刺し通した。   「なんなのこれは……うっ…!!」   レミリアは、苦悶の表情を浮かべた。その銃剣に刺された痛みだけではなく、そこから体が溶けていくかのような、謎の苦しみを覚えたのである。   「DUST TO DUST……終わりだ化け物、大人しく狩られろ」   アンデルセンはそう言いながら、両手に銃剣を握りしめ、ゆっくりとレミリアに近付いていった。 その口端は相変わらずつり上がっており、眼鏡は異様な輝きを放っている。その形相は、見る者全てに恐怖を与えるのに十分であった。   「くっ…こんな……!」   「お嬢様…!」   咲夜は、今にもレミリアに斬りかかり、その首を落とそうとするアンデルセンを睨んだ。彼女はそれを注視し、脇腹を抑えていた左手を離してナイフを握らせた。   「させない!!」   咲夜は覚悟を決め、気を集中した。時間を止め、アンデルセンの急所へとナイフを突き立てようとしたのである。 咲夜は叫ぶと、銃剣を振り被るアンデルセンへと駆け寄った。   「『クランベリートラップ』!!」   しかし、咲夜が時を止める必要は無かった。突然に放たれた弾丸が、銃剣を粉々に破壊したのだった。   「何…!?」   アンデルセンは表情を歪めつつ、弾丸が放たれた方を向いた。
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