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車のドアを開けて見ると、
そこには母の顔があった。
母は私の見たことのない服を着ていて、前はスカートなんて滅多に穿かなかったのに。
なんだか母に会えて嬉しいはずなのに、母が知らない人の様に思えた。
離れている間、何か私達を隔てる壁ができてしまったのかもしれなかった。
私はにこりと笑って母に、
「こんな雪じゃ寒かったでしょう。」
と、言って車に入るようにと仕草をした。
やはり罪悪感があるのか、少し不安げだった母もその言葉を聞いてほっとした様子だった。
だけど、その時言えたらよかった。
「どうして私達を置いていったの?どうして弟だけに連絡したの?ねぇ、お母さんは私達を捨てたの?」
そうやって思った事を口にして、母に私の怒りや悲しみや寂しさをぶつけられたなら、何かが変わっていたのかな?
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