思春期

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それから私は常に何処かに誰か潜んでいるんじゃないかと、疑心暗鬼になった。 小さな収納ですら隠れようと思えば隠れられる。 そんな有り得ない事に脅えていた。 私はそれまで彼に好意を持っていたけれど、彼の存在は恐怖に変わったのだった。 私が寝てる間に部屋に入れないように鍵をつける事にした。 ただヒモをつないだだけだったのでハサミで切れば入れる。そんな物でしかなかったけれど。 当たり前だが、そんな物じゃやはり不安は消えなかった。 なので、彼が兄の部屋に泊まりに来るときは母と部屋を交換する事にした。 母には事情を話さずただ交換してとだけ伝えた。 母はよくわからないが承知してくれたので助かった。 しかもその作戦はすぐに効果を発揮した。 母が私の部屋のベッドで寝ていると、彼が部屋に入って来たと言う。 あの私が寝ていた時のように私に会いに来たのだろう。 ぞっとした。 私が寝ていなくてよかった。
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