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姉さん、この世にはアホな人間が溢れてます。
校舎の窓から校庭を見下ろせば、運動部の連中が辛そうに練習をしていたり。
見事に禿げ上がった頭の校長が、女子のおっぱい的なものを眺めていたり。
気持ちの悪いオタクが、グフのヒートロッドでセイラさんを凌辱する同人誌を読んでいたり。
本当に様々です。
「ふん……馬鹿共が」
俺は校庭にいる連中に向かって呟いた。
だって馬鹿だよね。何が悲しくて体なんか鍛えるんでしょうか? 何が悲しくて汗を流すのでしょうか?
サイヤ人とでも戦うのですか?
本当に馬鹿ばっか。お前ら呼吸のやり方とか忘れちまえ。
そんな絶賛見下しまくり中の俺――池 麺太(いけ めんた)っていいます。
ちょっぴり爽やかな高一やってる者なんですが、今日は人生最良の日になりそうなので、ウキウキしています。
何故って?
俺は年頃の思春期らしく、恋とかしてるんだけど……。
今日から、俺が恋してる女の子が所属している部活に、入部する事になったのです。
でも、実は途方もなく緊張しています。
もうなんか、胸中に住む可愛らしい小人さん達が、心臓をハイパーオーラ斬りでズタズタにしてる感覚なんですよ。
この凄まじい緊張から来る心臓の擬音は、やはりドキドキで決まりでしょうか。
姉さん、俺ドキドキしてるよ。
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