第一話・ヒロインはまだですか?

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    姉さん、この世にはアホな人間が溢れてます。     校舎の窓から校庭を見下ろせば、運動部の連中が辛そうに練習をしていたり。     見事に禿げ上がった頭の校長が、女子のおっぱい的なものを眺めていたり。     気持ちの悪いオタクが、グフのヒートロッドでセイラさんを凌辱する同人誌を読んでいたり。     本当に様々です。     「ふん……馬鹿共が」     俺は校庭にいる連中に向かって呟いた。     だって馬鹿だよね。何が悲しくて体なんか鍛えるんでしょうか? 何が悲しくて汗を流すのでしょうか?     サイヤ人とでも戦うのですか?     本当に馬鹿ばっか。お前ら呼吸のやり方とか忘れちまえ。     そんな絶賛見下しまくり中の俺――池 麺太(いけ めんた)っていいます。     ちょっぴり爽やかな高一やってる者なんですが、今日は人生最良の日になりそうなので、ウキウキしています。     何故って?     俺は年頃の思春期らしく、恋とかしてるんだけど……。       今日から、俺が恋してる女の子が所属している部活に、入部する事になったのです。     でも、実は途方もなく緊張しています。       もうなんか、胸中に住む可愛らしい小人さん達が、心臓をハイパーオーラ斬りでズタズタにしてる感覚なんですよ。       この凄まじい緊張から来る心臓の擬音は、やはりドキドキで決まりでしょうか。       姉さん、俺ドキドキしてるよ。    
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