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そして、ゆっくりとカーブを曲がり終えたと同時に、いきなり真っ正面に幽ペンが現れた
初めて来る人がこの段階でビックリするのを俺は何人も見てきている
それも仕方のない事だ… 心の準備もなくいきなり目の前に現れるのだから……
今回のメンバーとは何回もこの場所に来慣れている事から、誰も何の反応もない…
けれど、来慣れてはいるが、見慣れる事はできず、ただただこの異様な姿に言葉を失ってしまう
周りの木々が幽ペンを囲んでいて、まるでここだけ別世界のような感覚になる…
真っ正面にある幽ペン…
2階建ての一軒家… 何故かはわからないが、正面一階の壁がほとんど崩れていて、中が丸見え状態… 見方によれば、(入っておいで)と言われてるような気になる
白い壁は薄汚れて灰色に…
その壁には、誰かの名前やら悪口やら… とにかく落書きが酷(ヒド)い
2階の窓、全てが鉄格子(テツゴウシ)で囲われ、中から外には出れない様になっている
一階の中央には暖炉があり、右側にはコンクリートで作られた幅の狭い階段… その階段は弧(コ)を描くように、左へと急なカーブになっており、更に奥へと続いているようだった…
階段の最高の高さは10メートル位、階段の右側には汚い壁があるだけで、左の全てには手すりは付いてなく、滑ったら確実に暖炉の上か、コンクリートで造られた床へと落下してしまう
俺はここへ来る度、昔テレビでやっていた記憶が蘇(ヨミガエ)る…
暖炉の中には中年の男の人がうずくまり…
二階の部屋の窓には小さな女の子が泣いている…
未だに俺達は階段の上まで行った事がない
まさか今日、行く事になるとは思ってもいなかった…
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