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「ギャー」
お伊佐は、甲高い悲鳴を上げた。家の軒下に火が付けられていたのだ。
その悲鳴で目を覚ました法明は、この危機状況から逃れるため、お伊佐と小太郎を抱えて、外へ飛び出すと、〈退魔の太刀〉と〈退魔の弓〉を取りに家の中に戻った。
家は炎に包まれて、崩れかけている。
「何てこったい」
お伊佐は嘆いた。
「フッフッフ…。心配するな。奴はこれしきの事では死にはせん」
そこに、邪鬼丸が現われた。
「ど、どういうことじゃ」
お伊佐は、邪鬼丸に駆け寄った。
「教えてやろうか。奴は退魔師だからな」
「た、退魔師だって?」
お伊佐は困惑した表情で言った。
昔から、『退魔師と関わると、必ず不幸になる』という言い伝えがあり、お伊佐も幼い頃から聞かされていたからである。
「あの方が、退魔師…」
「わかったか、ババァ。という訳で、お前たちにも死んでもらう。何せ、不幸を招く退魔師と関わったのだからな」
邪鬼丸は背中に背負った両刃の大剣を抜くと、2人を殺そうと襲い掛かってきた。
「そうはさせん」
燃え盛る炎の中から、法明が飛び出し、太刀で邪鬼丸の動きを止めた。
「貴様は何者だ」
法明は太刀を構えて、邪鬼丸に詰め寄る。
「俺の名は邪鬼丸。はるばる魔界から貴様を倒すためやってきたのさ」
邪鬼丸は、法明に向かって大剣を振り下ろした。
法明は、太刀を横一文字に構えて、大剣を受け止めた。そして、邪鬼丸に蹴りを入れると素早く、後へと飛び、距離をとった。
「さすがだ。貴様のような奴に会えて嬉しいぜ。だが、今度こそ最後だ」
邪鬼丸の大剣が赤く光り出し、気合と共に、大剣から光線を放った。
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