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「ここが戸倉ですか。噂には聞いていましたが、何と賑やかな町だ。戦乱の世にこんな町があるとは信じられません」
法明の目は、華やかさを誇る戸倉の町の美しい女郎たちに釘付けになっていた。
まず、法明自体、母以外の女の乳房を触ったことがなく、また、女というものも知らないまま、ひたすら妖怪を退治するためだけに命を燃やしていた。
「法明さん、どうです。今夜は私の家にお泊りになっては?それとも、町のお姐さん方とお遊びになる?」
法明は、ごくっと息を呑んだ。そして、顔を真っ赤にして言った。
「はっ。で、では、お言葉に甘えて志乃さんの家に泊めてもらいます」
志乃は、法明のうぶな仕草に、笑みを浮かべると家に案内した。
志乃はこの町で女郎として働いており、当然、体を売ることが稼ぎ口となっていた。この日はたまたま、非番であったため、隣町に私用で出かけていたのだが、その帰りに妖怪に襲えわれたところを法明に救われたというわけである。
法明は、血と汗の染み付いた着物を脱ぐと、水浴びをし、体を清めた。
そして、志乃が準備した女物の着物を拝借した。
夜になると町には、女を求めてどこからともなく殿方たちが訪れては、好みの女郎たちと一夜を過ごしていた。
が、一夜を過ごした男たちの中に姿を消した者が数名ほどいるというのである。
夜もだいぶ深まり、法明は、志乃がこしらえてくれた寝床に横になり、じっと天井を見つめていた。
「何年ぶりだろう。こんな寝床で眠れるのは…」と、小声で呟くと、そこに帯を解いている志乃の姿があった。
志乃は帯を解くと着ていた着物を脱ぎ、その美しい女体を露にした。
「法明さん。今日は、好きにしていいのよ。お金なんていらない。これは、私を妖怪から救ってくれたお返しよ」
何とも妖艶な志乃の姿に法明も理性を失い、まるで野獣のように、志乃の体を弄ぶのであった。
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