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道場に行くと、もうすでに皆集まっていた。
師範の老人が、藍花たちを急かす。
「遅かったな。一体何をしていたのだ?」
ふたりはすっと前に出て、一礼した。
「おはようございます、師範。今朝は霜がおりていたので、植物たちが大丈夫か見に行ってきたの」
「誠一が霜囲いをしておいたであろう」
「ええ、そうなんだけど、やっぱり見に行きたくて。元気そうなので安心しました」
そうか、と納得した師範はふたりに稽古の列に加わるようにとの指示を出した。
これから朝食までの一時間、みっちりしごくつもりらしい。
まぁそれもいつものことなので、ふたりは切れの良い返事をすると皆と同じ稽古をし始めた。
師範は一人一人を見廻り、そのつど厳しく指導してゆく。
大きな道場に、齢70を過ぎているとは思えないほど、張りのある強い声だ。
師範、柊 司郎(ひいらぎ しろう)は藍花の祖父だ。
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