序章

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ここは…どこだ…? 何もない見渡す限り広い林の中、なぜ自分はここにいるのか、自我をなくしかけている者が、ぼんやりと灰色の空を見つめていた。 ひどい姿だった。 服はズタズタに引き裂かれ、そのシャツの至るところに赤黒い血がにじんでいる。 皮膚は焼けただれていて、はがれた皮がだらしなく垂れ下がっていた。 一体どうしてこんな目に…そしてここは…? いま考えられる時点で、その者は己の記憶をたどっていった。
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