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「おい、何だったら、今すぐ裾から降りてやってもいいんだぞ?そいつに連れていかれたいか?」
俺がギューと肩を揉む手に力を込めると、老人は着物の袖に視線を落とした。
老人の袖には白い指が絡み付いており、その手は壁から伸びている。
袖掴神(ソデツカミ)だ。
俺が裾から退けば、たちまち老人は壁の中へ引きずり込まれてしまうだろう。
「それは困るのう。まだこの世にやり残していることがある」
「だったら、黙れ。じじい」
「袖掴神に狙われ、お前さんを雇って五年・・・一向に敬老精神が身に付かんな」
「肩を揉んでるじゃねえか。サービスだ」
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