第一話 テルコ

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第一話 テルコ

テルコ  髪の毛のない少女だった。 てるてる坊主のテルコ。 私の苛めた少女のあだ名だ。  「てるてる坊主」 「てるてる坊主」 テルコは泣いていた。 テルコは悔しそうだった。 そのたびに髪を伸ばすテルコ。 だけど  満月の次の日  テルコは髪を切ってくる。  私は楽しい遊びを考えた。 とっても親切な遊び。  テルコにカツラをつけてあげた。  接着剤でつけてあげた。  その満月の晩 テルコはいなくなった。 テルコの席は空いたまま。  いつまで経っても空いたまま。  (ああ、退屈) (誰かテルコにならないかな) 白い手が現れた。  天井から伸びてきた。  私の髪に指絡め、連れ去るために髪を引く。 とっさに掴んだカーテン。 隙間から見えたのは満月。 (だから・・・テルコは・・・) (てるてる坊主・・・) 私はカッターに手を伸ばし  ザクザク、ザクザク髪を切る。 白い手は、髪を掴めず去ってゆく テルコになった。 この夜、私はテルコとなった。
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