お題【サンタクロース】2

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 少し風変わりな子供だった。  ずり落ちそうな眼鏡ごしに私を見る。 「あなたへのプレゼントは誰がくれるの?」 「君達の喜ぶ顔が私への贈り物なのだよ」  納得しない様子の頭を撫で、私は立ち去ろうとした。 「僕がプレゼントを持っていく」 「それは楽しみだ」  去り際、その子が大きな声で言ったのを覚えている。 「必ず行くから。約束する」  頷いて応えはしたが、本気にはしなかった。私の存在は、大人になればいずれ風化していくものだからだ。寂寥はあるが、致し方ない。    突然の訪問者に私は驚きを隠せなかった。  目の前には痩せた長身の青年が一人。  ここは人には決して見つけられぬ場所なはず。 「二十年かかりましたよ、あなたを探すのに」  ずり落ちそうな眼鏡を直す仕草に、いつかの少年を思い出す。 「君は確か私に…」  青年の後ろから、朗らかに笑う女性と、子供が二人顔を覗かせた。 「妻と子供達です」  彼らは言った。 「メリークリスマス、サンタクロース」  彼らの笑顔は明るく、幸せに満ちあふれ、その輝きは私をも幸せに暖めた。  私は抑えきれぬ嬉しさに彼を抱きしめて言った。 「いいプレゼントだ。ありがとう。メリークリスマス」    ―メリークリスマス―
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