第一章 記憶に残る赤いナニカ

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赤黒い館にて発生した身も凍るような殺人事件から数年。 唯一生還した柳木辰海は今、中学校の課程を修了した。 辰海の両親が遺した莫大な資産のおかげで、彼は有名私立中学に通うことができた。 ただ、辰海はなぜ両親が死んでしまったのか今でもわからないらしい。親戚から病死やら事故死やら色々な説を吹き込まれたが、彼は首を振るばかりであった。 なにせ死体と対面していないのだ。それなのに病死、事故死などと言われても信じられる訳がない。 だが彼は親の死の真相を暴く気は更々ないようだ。もう後ろは振り向かない、そういう決意が胸にあるのだろうか。 進学先は有名な私立高校。今盛んに研究が進められているバイオテクノロジーの基礎技術を学ぶ、専門過ぎる高校だ。中学で生物を学び、その奥深さに感銘を受け、某高校を志願したらしい。 学費は目を疑う程の額。おまけに馬鹿では入学出来ない。この二つをパスした者だけが入学を許されるのである。
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