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辰海は町中を歩いていた。時折目につく親子連れを見て、なぜか胸が締め付けられる。
「パパー! 明日遊園地いこうねー!!」
「あぁ! だから今日は早く寝るんだぞ?」
「はぁ~い」
自分は誰かのお腹から産まれてきた人間ではない? だから両親の顔が思い出せないのではないか?
辰海は時々、両親の顔を思いだそうとする。だが、なぜか思い出してしまうのは真っ赤なナニカ。
真っ赤なナニカの中で両親が悶えている。勿論、顔など見えない。
「俺は、俺は……」
頭を抱えながら自宅へ向かった。
「おかえり、辰海ちゃん」
出迎えてくれたのは叔母。この叔母は辰海の父の妹に当たる人物である。
「どうしたの? 何だか、顔色があまり良くないみたいだけど」
「いや、何でもないよ」
叔母と適当に会話をし、自室に入って鍵をかけた。
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