父親

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父親

私たちは貧しいながらも、祖母と三人で暮らし、ある日息子に届きものがきました。元旦那のおじいちゃんからの黒いランドセル。極上の革を使った、見た目でも何万するものでした。届けてくれたのは、元旦那。息子は、それまで父親の存在は知らないで、誰だかわからなかったようですが……『なんで僕のこと知ってるの?』元旦那にはそれがショックだったようでした。 『お父さんなの?ねえ、お母さん、僕にもお父さんがいたんだね!』息子は喜んでいました。父の日には、私のお父さん(おじいちゃん)の顔を書いていた息子。 ランドセルを何回も箱から出し入れし、もうすぐ小学生。私は父親はやっぱり息子にとって必要なものだと理解しましたが、元旦那のご両親が不敏でした。 目に入れても痛くないほど可愛がってくれた初孫のために、離婚してもなお、こうして息子のためを思ってくれてる。
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