幼児期

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私は仕事初めて一年が過ぎようとした時、息子と二人で家を出る決心をしました。原因は旦那が息子に手をあげたこと。しぶってましたが、しつこく聞き出しました。旦那が息子の胸ぐらをつかんで振り回し、洗面台に顔をぶつけて目元に大きなアザとコブができていました。珍しく旦那が息子のお迎えに行った日のことです。『おかあたん、おかいり』暗闇の中での息子のお出迎え。旦那は寝ていました。夕方のまだ6時ころです。電気をつけたら……『ごめんね。ほんとにごめんね。』私は泣きながら息子に何度も謝りました。今までも帰ったことは何度かあって、実家に帰ると連れ返されていましたが、今度は今までとは違う。車も自分のものでありながら、車検は私に頼り、息子が熱が出たときも旦那に頼むと『俺はいま夜中と同じだから、わからねえかなあ。病院になんて連れて行けねえよ。』 と息子の送り迎えさえなく、熱があっても寒くても自転車で後ろに息子を乗せ病院に通っていた日々。   私は少しずつ家を出る準備をして、アパートは少しずつ綺麗にしていくようにしました。『飛ぶ鳥、後を汚さず』をモットーに、アパートをピカピカに磨きあげました。そして、旦那が眠っているときに、アパートの壁を撫でながら、『ありがとう。さようなら』と小声で言って荷物を車に運んびました。ボストンバック三個と息子のアルバムだけもって、家を出て、そのまま保育園に迎えに行き車を走らせました。
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