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だけどその日から、僕は毎日゙彼女"を見る。
彼女は毎日、決まって数学の時間に゙落ちてきた"。僕は3回目からはもう驚かなくなっていた。
毎回目が合う。落ちてくる、ほんの一瞬だけ。彼女の目はとても綺麗だ。最初は彼女もびっくりしてたが、最近は笑いかけたり、口で一瞬何か言ったりするようになった。
僕は、彼女に恋をしてしまったみたいだ。
今では数学の時間の、ほんの一瞬しか会えないなんて辛すぎる。
僕は、思いついた。
彼女と同じ世界へ行こう。そしたら、毎日毎日ずっと彼女といれる。
次の数学が始まる前に、僕は屋上へ上がった。下を見る。高い。けど、自然と恐怖心はなかった。あるのは、早く彼女に会いに行きたいという気持ちだけ。
授業開始のチャイムが鳴ったと同時に、屋上から下を見てた僕を、誰かが突き飛ばした。
僕は一瞬振り向いた。彼女だった。
笑ってる。
僕は、落ちていきながら、とても幸せだった。
「きゃーーー!!!!」
窓側に座ってた美佐が、いきなり叫びながら立ち上がった。
「ど、どうしたぁ!?」先生が駆け寄ると、美佐は窓の外を指差しガクガクと震えながら、
「い…今…中島くんが落ちてった…私、目が…目があっちゃった…」
先生が慌てて窓の外を見にいく。
「中島くん笑ってたよぉ…」
美佐は泣きながら言った。
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