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その次の日から異変は起きた。
和樹が昼に一人でファミレスに入った時のこと。
店員が
「お二人様ですか?」
と聞いてきた。
和樹は、いやいや、お二人様に見えますか?と逆に聞きたかったが、「いや一人」とは答えて席に通された。
けど水もスプーンとかフォークも二組きた。
は?と思って店員を見る。けど店員から普通にメニューが決まりましたらお呼びくださいと言われ、面倒なのでそのままにした。
メニューが決まり店員を呼ぶ。
「生姜焼き定食」
そう告げ、しばらく水を飲んで待っていたら、店員が、生姜焼き定食…とドリアが運んできた。
「いや…ドリアは頼んでないけど」
持ってきたのは注文をとった店員だったが、首を傾げて、
「え?ドリアもでしたよね?」
と和樹を不思議そうな顔で見た。
「いや頼んでないから」
少しムッとして言った。
店員は謝りドリアをさげたが、最後まで首を傾げてて納得いってなさそうだった。
それをかわぎりに、どこかに一人で出向く度に、かならず二人分の扱いを受けるようになった。
喫茶店に入る時も、映画を見る時もバーに入る時も…
和樹は、エミだな、と気付いた。あいつがいる。
最初は鳥肌がたつ思いだったが、しかし店に入る時だけで、それ以外では何もない。何もしてこない。
「メニューや入場料を二人分払わされるくらい、可愛い仕返しか」
と今では和樹は、笑えるくらい余裕があった。
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