飛び下りる

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嫌いな数学の時は、僕はいつも窓の外を見てる。 窓側は特等席だ。春は特に。 先生は、居眠りしてるやつは怒るけど、外見てボーっとしてるだけじゃ怒らないのも都合がいい。 今日も僕は窓の外を見る。 すると、上から女の人が落ちてきた。 落ちる瞬間、目が合った。何故かあっちはびっくりしたような顔をしてた気がする。 彼女が落ちたドサッという音が聞こえて、ようやく僕は我にかえって、 「わぁ…わぁぁぁ!!!」 と席から飛びはねる様に立ち上がった。 先生がびっくりして駆け寄る。 「どうした中島!?」 「先生っ…人が落ちてきた…」 「何!?」 先生が僕が指さす窓の外を乗り出して見たが、そこには何もなかった。 先生僕にげんこつを食らわせた。 「お前寝惚けてただろ!!」 「いや本当にっ…」 僕も外を見たが、何もなかった。おかしい。けど僕は絶対に寝惚けてたんじゃない。 納得いかなかったんだけど、みんなが白い目で僕を見るから、大人しく席に座った。
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