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一瞬だが、僕は何も考えられなくなった。
目の前で起きている事の意味がわからず、想像することもできなかった。
「そういう事か」
と男は言った。
振り向くと男は結衣を見ていた。
その声と姿は僕を我に返し、また、僕の頭の中から男の存在が消えていた事を気付かせた。
そしてドアが開くと同時に黒く不吉な空気が部屋を満たしていくのを感じた。
ドアの外にいた男と他に3人の男が部屋に入ってきたのだ。
「もう終わりだ」
と男は言った。
僕は冷静になるよう努めた。
この中の誰よりも冷静にならなくてはならない。
おそらくここで何を言っても無駄だろう。
僕は心を決めた。
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