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僕は3人目の男がドアをくぐる前にテーブルを離れ、後ろに立っていた初老の男に前蹴りをした。
しかし突然立ちくらみのようなものが起こり僕の蹴りは男の横を抜けた。
頭がグラグラして上手く立てない。
痛みを感じたので左腕を見ると上腕部にプラスチックの筒のようなものが刺さっている。
何か薬を撃たれたのだろうか。
僕は気を失いそうになったが、
なんとかプラスチックを抜き取ると先程モニター室から持ってきたボールペンを取り出し左腕を3度刺し足も刺した。
痛みで気を保つためだ。
効果があるかは疑問だったが少しは効いたようだ。
次に左腕を絞り、出来る限り血を流した。
初老の男が何か言った。
「その女は…」
しかし僕の耳には届かなかった。
視界はグラグラしていてまともに頭を働かす事ができない。
テーブルにぶつかりながら男達から逃げるように結衣のいる場所まで行くと僕は彼女の腕を掴み、すぐ近くのドアノブを回した。
しかし鍵がかかっている。
僕はドアにもたれ掛かり、ノブを隠すように立つと男達に話かけた。
「俺に何を刺した?ここは何の施設でどこにある?」
本来ならおそらく立っているのがやっとだ。
声と指先が震える。
「答える必要はない」
と初老の男は言った。
同時に3人の男達がこちらに寄ってくる。
気持ちが悪い。吐きそうだ。
一人は銃のような形をしたものを持っているように見える。
あれを打たれたのだろう。
僕は身を翻すとドアを開け、結衣の腕を引いてすぐに一緒に中に入りドアを閉め鍵をかけた。
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