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鍵を開けるのに使ったボールペンの芯をそのまま折って鍵穴に差し込んでおいたので少しは時間が稼げるだろう。
先の通路は薄暗かった。
しかし前が見えないほどではない。
僕は霞む目を擦り、思い通りにならない自分の足に苛立ちを感じながら壁伝いに進んだ。
もう倒れてしまえ。
眠ってしまえ。
脳は肉体にそう指令を送っている。
しかしまだ倒れるわけにはいかない。
眠るわけにはいかない。
僕は結衣と繋いだ手に強い力をかけてしまっていたことに気付いた。
同時に彼女を見たが歪んだ視界に遮られ表情は読み取れない。
通路を少し進んだところで左手に階段がある事に気付いた。
ここに来てから見た中では最も横幅がある階段だ。
上はかなり明るい。
通路はまだ続いていたし、先にはいくつかの扉も見えたが、僕は迷わず階段を上った。
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