終演と過去

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彼が今のバンドを組んだのは 5ヶ月ほど前だったか。 大学に入り 高校までのコピーバンドは解散。 オリジナルでバンドをしたいとは 高校時代から思っていたが、 全く楽しみも刺激もない大学生活が その思いに拍車をかけた。 大学の軽音サークルは ラッドだのホルモンだのミスチルだのバンプだのラルクだの 受けのいいコピーバンドか 奇抜なことをやるだけのオリジナルもどきばかりで 彼にはそれが 酷い騒音か無関心を音にしたようなものにしか 感じられなかった。 だから 彼が学外でバンドのメンバーを募集したのは 当然の成り行きだった。 彼はギターの才能は人並みにはあった。 高校の仲間からも「ギターが上手い」程度の認識を得ていたし 彼自身も、自らの才能に少なからず自信を持っていた。 最初のバンドを組むまでは。
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