61人が本棚に入れています
本棚に追加
彼が今のバンドを組んだのは
5ヶ月ほど前だったか。
大学に入り
高校までのコピーバンドは解散。
オリジナルでバンドをしたいとは
高校時代から思っていたが、
全く楽しみも刺激もない大学生活が
その思いに拍車をかけた。
大学の軽音サークルは
ラッドだのホルモンだのミスチルだのバンプだのラルクだの
受けのいいコピーバンドか
奇抜なことをやるだけのオリジナルもどきばかりで
彼にはそれが
酷い騒音か無関心を音にしたようなものにしか
感じられなかった。
だから
彼が学外でバンドのメンバーを募集したのは
当然の成り行きだった。
彼はギターの才能は人並みにはあった。
高校の仲間からも「ギターが上手い」程度の認識を得ていたし
彼自身も、自らの才能に少なからず自信を持っていた。
最初のバンドを組むまでは。
最初のコメントを投稿しよう!