お見合い

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 怜斗さんは私が追いつくまで待ってくれて、私の歩幅に合わせて歩いてくれている。    高校生になっても彼氏を作らず、友達と騒いでいた私は¨女の子¨扱いされたみたいてちよっと嬉しかった。    「はじめまして、葉月砂衣です。」    ケーキのショウケースの前に来て足を止めると、ニコッと笑って挨拶をした。    「はじめまして、浅葱怜斗です。」    お返しとばかりに挨拶される。  怜斗さんは格好いいのだけど。クールな感じの人。一見何を考えているか解らない感じの。 そんな人がにっこりと笑ってくれるもんだから、隣にいたお姉さんがイチコロにやられました。    「断らずにいてくれてありがとうございます。」    すっと私にくっついて耳に囁いた。 気が付くと腰に手が回されていた。    「いつまでなんです?」    そう。浅葱さんがお見合いの話をした時、日にちや場所まで決めたのだけど。断ってもいいとのこと。 権力や財力を使って強制はしなかった。    怜斗さんのあれで腰砕けになりそうになりながらも、反撃をした。    「えっ?」    怜斗は砂衣が何を言いたいのか解らず、腰に回していた手を離して彼女の正面に向いた。 砂衣はそんな怜斗を見て、自分が言いたいことが解っているのか解らなかった。    「もし、断っていたらどうしていました?」    怜斗の表情を無視して彼の言葉に返す。    「あなたに接触して交際をお願いしますよ。」    砂衣のにっこりに怜斗もにっこりと返した。    「大変ですね。」    怜斗を見ていた目を落としため息をつくとそう言い、注文していたケーキを受け取った。    「?」    怜斗は砂衣の意図するところが解らず苦笑していた。     .
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