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「わかってくれて嬉しいです。」
怜斗は言葉通り嬉しいらしく、にっこりと笑った。
「付き合ってくれますか?」
少し残っている珈琲を飲み干し、グッと自分に気合いを入れるとそう言った。
「…結婚を前提でと言うのならお断りします。
お互いを知る為の交際なら、ある程度の条件をのんでくれるのならOKです。」
砂衣は自分が優位な立場にいることを感じ言った。
友達が年上の婚約者から自分の意志など無視した行動をされていることを言っていたから。自分はそうならない為に出した。
「条件?」
怜斗は結婚を前提の交際が断られた事にショックを受け。耳を疑った。それもそのはずだろう。自分から告白はないものの彼女になりたい女は沢山いる。いや、横にいる女になりたがる女ばかりなのだ。断れるだなんて選択肢はなかったのである。
それなのに断る。
耳がおかしくなったとしか思えない。
「えっ?条件?」
彼女の言葉にはまだ続きがあったのだ。
お互いの事を知る為の交際ならOK。
その言葉に我に帰り、条件というのが耳に入った。
「はい。条件です。」
彼女を見ると笑顔で返事が返ってきた。
初めてだった。
結婚をなんて考えて…いや、今までで付き合うにあたって条件を出されたことなど…
「一つは…」
「一つは?いくつもあるんですか?」
「はい。」
「…。」
「いやでしたら、縁―」
「解りました。条件を言ってください。」
やったぁ♪
そうこなくっちゃあ。
交際中でも結婚しても、立場は同等でなければ。
「一つは私の意志や言葉を聞き入れてください。
強引にあなたの意志のみを通してしまうのは嫌です。」
「無論、あなたの意見も尊重します。」
真っ直ぐ怜斗を見据えると静かに言った。
「わかりました。お互いの意見を尊重して強引な行動はしない。」
怜斗の方も真っ直ぐ砂衣を見る。
「二つ目は…って言うか、今のところ二つしかないんだけど。」
っと、砂衣はさっきと違いおどけて舌を出したりした。
怜斗はそれを見て抱きしめたい感情に駆られたが、手を口にやり抑えた。
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