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「いい?開けるよ。」
涼子がこっちを向いて椅子に座り、私はベッドの上に座り息を飲んだ。
コクンと返事をすると、涼子は強張った表情で携帯を開く。
涼子も同じ気持ちなんだ。
嫌なことを頼んで申し訳ない気分になる。
私は涼子の顔を見れなくて俯いた。
「砂衣、着信120件。メール70件きてる。」
何て数…。
頭を抱えてうずくまろうとしたらまた涼子が口を開く。
「砂衣!
その中に私のも入ってる。
けど、後は全部浅葱さんだよ。」
ちょっと強く、声を大きくしてくれたから聞こえた。
えっ?
ばっと顔を上げると涼子と目があう。
「私が見たのは着信とメール履歴だけ。内容は見てないよ。」
…。
「砂衣は遊園地に行った時のトイレに行ってから浅葱さんに連絡してないんでしょう?」
コクン
「急に砂衣がいなくなったら誰だって心配するわよ。」
学校を休んでから毎日家に来てくれた涼子には全てを話している。自分の気持ちも。
涼子は私の携帯からどこかに電話をかけた。
♪♪♪
誰にかけたんだろ?
「はい。」
はや!
えっ?怜斗さん?
「もしもし、浅葱さんですか?」
「はい。そうですが、どちらさまですか?」
私の携帯から知らない人間がかけたのだ。警戒している感漂う声音。
「私は葉月砂衣の友達の羽鳥涼子って言います。」
そんな怜斗さんを無視して涼子は喋る。
「砂衣は今週体調不良で寝込んでいました。メールを見てないんです。
私は遊園地のことを聞きました。
本人は気持ちの整理出来ていないところに携帯へのたくさんの着信とメールに恐怖してるのです。」
「…。」
「気持ちの整理が出来るまでこちらへの接触を止めてもらえませんか?」
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