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私、葉月砂衣はなぜ自分がここにいるのか考えていた。
水曜日、私は見たいドラマがある。その為夕ご飯を食べた後すぐにお風呂に入った。
「あ~気持ち良かった♪
あっ、お父さんおかえり。」
バスタオルで背中まである髪を拭きながらリビングに戻ると、珍しくお父さんが帰っていた。
?
お父さんの隣にお母さんも座り、頭を下げている。
「どうしたの?」
私は二人の向かいに座り聞いた。
「あっ…砂衣。」
私がいることに今、気が付いたみたい。
「砂衣ちゃん…」
んぁ?
「砂衣、話がある。」
えっ?
今?
…ドラマ…
「座りなさい。」
いや、座ってるし。
私は座り直すと背筋を伸ばして、真っ直ぐお父さんを見た。
何か真剣な話がある空気だったから。
お父さんは私が“聞く”体勢になると口を開いた。
「今日、お父さんのところに浅葱さんって方が見えてな。」
うん
「浅葱さんの息子さんと砂衣とお見合い…いや…婚約をさせてもらいたいって言われたんだ。」
はい?
「お父さんはその浅葱さんや浅葱さんの息子さんとは面識ないのだが…」
いや…私もですが?
「お母さんも知り合いにはいないのよ。」
「面識のない人と急に婚約と言われてもねぇ」
お母さんがボソッとつぶやいた。
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