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話はこう。
昼休み、食事に出ようとした父に急に来客。
浅葱さんって人。
会社の重役でもなければ取締役でもない父は当然一社員。(一応部長らしいけど)他の社員同様昼休みの時間は限られてくる。
そう話しをすると、近くのお店に(えらく高いとこらしい)行って話をしたんだって。
一見高そうなスーツ、優しそうに見えて有無を言わせぬ物腰。
二人で来たその人は後ろにいた人を案内された部屋の外に待たせると、料理が来たのを見て口を開いた。
「初めまして、浅葱浩一郎です。突然で申し訳ないのですが…」
「はっ?」
「うちの息子の怜斗と葉月さんのお嬢さんの砂衣さんとを婚約をさせたいのだが。」
本当に本当に前置きもなくそう言われたんだって。
「いや、突然息子から砂衣さんと一緒になりたいと言われましてね。」
と付け足しもあったみたい。
「…急に婚約と言われましても。砂衣の結婚相手は本人が決めますので。」
相手に圧倒されつつも、やんわりお断り。
で・す・が!
向こうも引き下がらない。
「では、こうしてみては?
お見合いをして、当人同士が気が合えば婚約と。」
いや、それが普通だろ。
「私も砂衣さんを知りませんから。」
大丈夫か?
このおやじ。
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