禁煙

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親友がいた。 病気らしい。 名前が難しい病気らしい。 なんか今の医学では治すのが難しい病気らしい。 幼稚園から一緒の親友やったのに。 毎日お見舞いに行った。 自分の方が大変やのに「お前タバコ辞めな病気なんぞ。」とか言って笑ってた。 自分の方が大変やのに。 余命一年位らしい。 その話聞いた時親友笑ってた。 俺こいつの為に禁煙しようと思った。 禁煙して一年位経った。 親友はまだ生きてる。 それどころか病状は回復していた。 そして退院までできるようになった。 禁煙して二年が経った。 まだ禁煙続けている。 そんなある日、親友の母から連絡が入った。 親友が倒れた。 病気が再発した。 すぐさま病院に駆け付けた。 緊急手術だった。 手術は… 成功。 今はぐっすり寝ている。 なんでも発見が早く間に合ったらしい。 それでも奇跡らしい。 でも奇跡ってのは続けて起こるもので、明日には退院できるらしい。 俺は今、病院の屋上にいる。 風にあたりながら親友の為に禁煙していたタバコを一本吸った。 ヘビースモーカーだった俺は二年も禁煙していた。親友の為に。 かってに俺がタバコを辞めれば親友の病気が治ると思って。 何か親友の為にしたくて禁煙をした。 そして奇跡が起きた。 久しぶりに吸った一本は何故か今までとは違っていた。 次の日。 結論から言えば親友は死んだ。 退院して家に帰る途中に事故にあった。 俺のせいだ。 俺のせいだ。 俺のせいだ。 禁煙する事で奇跡が起きた。そして奇跡が起きたので俺の役目が終わったと思いタバコを一本吸った。 たかが一本。されど一本。
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