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そんな二人を、亜子と奈々は驚愕の顔で見ていた。
「うそおぉぉぉおおお!!!!!?」
二人の声は見事にハモったが、「嘘」と言いたいのはバレー部の方だ。
あのひょろい体で、どこから力が出てくるのか。いや、頼太はボールを取り、トスをしているだけで、保守的だ。
試合が終わると、汗だくになって息を乱している部長チームと、一人バテている頼太とまだやれそうな太一。
「意外。成宮って運動出来たんだ。」
「いやいや。バレー部が弱すぎだからってのと、湯沢さんが居たから勝てたってだけで、多分湯沢さん居なかったらボロ負け。」
「……確かに。」
今度は、太一が頼太を引っ張り上げ、立たせると、太一は真っ直ぐに部長の元へ行き、右ポケットに手を突っ込む。
「俺、調理部に入るんで辞めます。これ、退部届………ここに置いて行きます。」
息を乱してバテている部長、田丸の近くに退部届を置くと、太一は頼太を連れて、体育館を出る。
「…太一……。」
「今まで心配掛けてごめん。奈々、俺と一緒に調理部入ろう。」
翌日、奈々もバレー部を退部し、調理部結成を目指し、太一と一緒に頼太と行動する事になる。
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