調理部結成

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クルクルに巻かれた、茶色い髪は傷みまくり、短く折られたスカートから白い脚が延びている。 制服の上からは緑の指定ジャージ。 「何?」 「……………ケバいですね。」 思わず、思った事をそのまま言ってしまった頼太に亜子が鉄拳という名の拳骨を脳天に食らわせる。 「申し訳ありません!!バカなんです!」 バカで済まされた頼太の頭には立派なたんこぶが出来ていた。 「アンタの彼氏?」 「誰がこんなデリカシーのデの字すらない奴に惚れますか!!?」 「……そんな力一杯否定しなくても…」 興味なさそうに、爪を弄っているマネージャーは、浜谷奈々(ハマタニ ナナ)というらしく、バレー部のマネージャーらしい。 「まぁー。私がこんな事してる理由でも見てみるー?」 語尾を伸ばしながら、ゆっくりとした動作で、体育館の鉄のドアを少し引く奈々からは、ギャル独特の香水の匂いがしない事に頼太は気付く。 「ウチのバレー部、やる気ないらしくてー、練習には参加してるんだけどー、遊んでる奴ばっかなのー。」 少しの隙間から体育館を覗けば、喋りながら練習と称した、弱い者イジメが繰り広げられていた。
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