プロローグ

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「これ……」 女の子は渇れた声で小さく言うと、少年から渡された物を見る。 「これ、俺の宝物なんだ。君にあげるよ!」 少年は笑顔でそう言うと女の子に目線を合わせる。 「いいの……?」 「うん、いつか返してくれてもいいし、返さなくてもいいよ」 「でも……宝物なんでしょ?」 女の子は泣き止んでいて、不思議そうな顔で少年に聞く。 「じゃあ今度会った時になんでもいいから何かお返ししてくれればいいよ」 「うん! 約束……」 「約束だ! 俺の名前はあいざわこうすけ。君は?」 「あたしは……」 こんな事があったなんてすっかり忘れてたな……。 あの時まで……。
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