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朝 その家の主である六道骸が目覚める。 ここは黒曜ヘルシーランド。 寂れた廃墟と化した、テーマパークだった場所である。 骸の目に最初に飛び込んでくるのは、廃墟とは思えないほど綺麗に片付いた部屋。 どうせなら引っ越そうと思ったのだが、 『あの子』がここがいいと言ったので止めたのだ。 そして、せめて楽に生活出来るように、と犬達に言って片付けさせた。 暫くぼーっとしていると、パタパタと軽い足音が聞こえてくる。 『あの子』、ですか。 骸はベッドから出て、服を着替え始める。 丁度着替え終わったとき、バンッと豪快な音をたててドアが開いた。 「むくろさんっ!おはよーございますっ!」 子供達特有の、甲高い声。 「……ゆう、ドアは静かに開けなさいと何時も言ってるでしょう」 地を這うような低い声でそう言えば、正反対の高い声で「はい」と返事が返ってくる。 ……返事だけは良いのだが。 何度も同じことを繰り返すものだから、怒る方もいい加減疲れてくる。
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