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「さっき二人で何話してたの?」
亮司が窓際でたたずんでいると、真人がそう耳打ちしていた。
こいつに見られていたのか、
と亮司は思った。
「別に。なんだっていいだろ」
「いいけどさ。ま、ライバル多いけどがんばれよ」
真人はそういい残してその場からいなくなった。
亮司は、杏奈に対して特別な気持ちがあることを誰にも言っていなかった。
親友に真人にさえも。
それなのに、真人には全部お見通しだったようだ。
さすが親友だ、と亮司は少しだけ真人を見直した。
真人がいなくなったあと、また外に目を向けた。
だけど外の景色なんて目に入っていなかった。
杏奈の、自分にだけ向けられた笑顔だけが、亮司の脳内に浮かび上がっていた。
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