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真人が鐘を鳴らすと、みんなが一斉に手を合わせた。
すぐにやめる人もいれば、時間をかけてお願い事をしている人もいる。
亮司も長く手を合わせていた方だったが、隣りを見ると杏奈はまだ手を合わせていた。
その顔は真剣だ。
杏奈の顔を見つめていると、その視線に気付いたのか、驚いたような顔で亮司を見た。
「ゴメン、邪魔した?」
「ううん。ちょうど終わったトコだったよ」
神社を出るまで、亮司は杏奈に何をお願いしてのか聞いてみた。
さっきの真剣な顔がとても気になったからだ。
「…秘密だよ。亮司のほうこそ、何てお願いしたの?」
「俺も秘密」
「なにそれー。人に聞いてきたくせに」
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