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──土曜日──
俺は取り引きを前日に控え、脇田と会う約束をしていた。
脇田の家に連絡をすると、脇田は公園にいて、公園で俺を待っているらしい。
脇田は昔から公園が大好きなのだ。
公園の遊具と戯れる脇田の姿は実に愛らしい。
遊具で遊んでいる脇田の姿は、妹にしたいランキングで常に上位をキープしているほどだ。
俺は公園にたどり着いた。
すると、公園のブランコがブンブン揺れているではないか。
脇田だ。
一目でわかった。あの半ズボンにダウンジャケットというダサいファッションは脇田しかいない。
「脇田ー、いい歳してブランコなんか乗ってんじゃねーぞ。」
俺は脇田に向かってそう叫んだ。
分かっている。これが脇田に対する嫉妬だということを。
正直、公園で遊ぶ脇田は尋常じゃないくらいに愛らしい。
例えていうならば、関ジャニ∞のボーカルくらい愛らしいのだ。
要するに、たまごっちは10日くらい育ててると徐々に飽きてくるということだ。
すると、俺に気づいた脇田がブランコから下りてきた。
「遅かったね。森山がくるまで10時間ほどブランコで暇潰ししてたよ。」
もはや神
脇田は待ち合わせの10時間前から公園のブランコで遊んでいたのだ。
俺は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
脇田を10時間以上も待たせてしまったことに対してだ。
待ち合わせの時間は脇田の『夕方』の一言だった。
だから俺は5時に公園に行った。
しかし、あいつは朝7時から公園にいたのだ。
脇田の頭の中では夕方が朝7時なのだ。
少々頭がおかしいのは分かっていたがここまでとは。
すると、脇田がこう言ってきた。
「夕方までポケモンしようと思ったんだけど、ゲームボーイの電池が切れてたから公園にきた。」
もうわけがわからん。
「とりあえず、明日のことについて話合おう。」
俺は脇田にそう言った。
すると、脇田が
「どっちみち、明日取り引きが行われるんだったら明日話そうよ。今日はもう寒いから帰るよ。」
俺は怒りが頂点に達した。
寒いなら長ズボンを履け。
これではなんの為に公園まで来たのかが全くわからない。
そして俺は怒りに身をまかせ、脇田にこう告げた……
続く……
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