夜空に歌、儚げに

3/9
前へ
/56ページ
次へ
補給場に入る。 それと同時に蜘蛛の巣のカーテンに迎えられた。 この蜘蛛も偶然生存した仲間なんだろう。 さて、僕が探すのはチーズとラーメン。 あとは保存状態によってまちまちだ。 ラーメンの袋を見つけ、歩こうとした時に何かに躓(つまづ)いた。 人だ… 返事がない。 ただの屍のようだ。 「………。」 4~5秒程の虚無が思考を包み、ゆっくりと視線をラーメンへと戻す。 ラーメンを手に取り、また屍へと視線を戻す。 軍人だろうか。 埃を被った茶系の軍服、乾燥した肌。 もう何度見ただろう。 屍を見るのは慣れた。 しかし、不意に現れると心臓を握られる様な衝撃が走る。 僕はチーズをリュックに詰め、補給場をあとにした。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加