夜空に歌、儚げに

4/9
前へ
/56ページ
次へ
自転車をまたいで街へ向かう。 街の方を見ると、光る粉がビル風に煽られて舞い散っているのが見える。 この光る粉が舞い散る姿を見るのは気分が悪い。 嫌な思い出ばかりが頭を過ぎる。 もうじき日が暮れそうだ。 暮れる前に街に着きたい。 僕は自転車をこぐ力を強めた。 「っはぁ…はぁ…はぁ…」 息が上がってきた。 光る粉は口の中でふわっと溶けて無くなってしまう。 その残りが肺に入って来る。 なんともない。 皆が死んでいったのに自分が死なないのが辛い。 この時だけはこんな事を考えてしまった。 「着いた…」 急いだお陰か暮れる前に街に着く事ができた。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加