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「ほんまあついなー」 そういいながら 汗が滴る額を袖で拭い髪をかきあげる りょうは親友の俺からみても 男前で、 女子が黙っているはずなどなく 何人かの子が群れている 「ちょ、ほんま暑苦しいから離れろ」 お気の毒様。 人事やけど人事のように哀れみの目線を 向けたら俺は 「お先にー」 と、その場をかけて離れる。 階段を一段とばしで駆け上がり 屋上の扉をあければ むわっとした夏特有の空気 そんな空気を避けるように 貯水タンクによって作られた 日陰に腰を下ろす 熱い、むっちゃあついけど 好きな場所やから来てしまうねんな 「やすー、お前暑ないんか」 ふと目をあげれば先輩のすばるくん 「暑いでー」 簡潔過ぎる俺の返答にも 特に気にすることなく 俺の隣に腰を下ろすすばるくん 「暑いのに居るんか、阿呆やな」 そう言われ少しむっとして すばるくんのほうを向けば 額にはうっすらと汗が滲んでいて なんや、自分も阿呆やん と、心でツッコミを入れた 「阿呆やけどここ好きやからなー」 「ふーん」
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